コトづくりで差をつける:中小印刷会社のデザイン経営
前回の記事(デザイン経営で切り開く未来ーミライ経営塾Wondersに参加して)でデザイン経営の紹介をさせていただきました。今回はもう少し詳しく紹介したいと思います。
デザイン経営という概念は、私たち中小企業の多くにとって新しい発想かもしれません。このアプローチは企業の成長、ブランド構築、そしてイノベーション創出に大きな可能性を秘めています。デザインの思考方法を経営戦略や組織運営に取り入れることで、従来のビジネスモデル、組織のあり方を根底から変革することができるかもしれません。
特許庁が発行する「中小企業のためのデザイン経営ハンドブック」では、デザイン経営を始めるために9つの入り口を提案しています。それぞれどの入り口からスタートしても大丈夫ですが、大きく分けると「会社の人格形成」がブランディング、「価値の創造」がプロダクトデザイン、「企業文化の醸成」が組織デザインとしています。先日のミライ経営塾Wondersでは当社は「企業文化の醸成」という組織デザインを課題において取り組み始めました。ユーザーニーズやユーザー中心の視点から顧客の課題解決を軸にしたコトづくり営業を推進するために営業研修やノウハウの共有、評価基準の策定し、デジタル知識を強化しながら定着を図ることになりました。さらに、この活動を見える化するために、営業の行動目標管理シートに落とし込みました。
この1年はコトづくり営業の推進・定着を目標に行動していきます。そして、「企業文化の醸成」を成熟させながら数年先には顧客からのフィードバックやインサイトを基に、「実験と失敗を繰り返しながら心をつかむモノ・サービスを創造する」ことを目指します。この過程では、経営者とチーム全体が課題解決やイノベーション創出に共に取り組む重要性を理解し、これを継続することが求められます。そのためには「社内外の仲間を巻き込む」ことや「魅力ある物語を発信する」ことが重要になってきます。継続して組織を変革し続けるには「未来を妄想する」ことで理想を描き、それを実現するために「意志と情熱を持つ」ことが特に重要な要因になるとも思います。このようにデザイン経営は多方面に広がりを持ってブランドとイノベーションを通じて競争力向上に寄与します。
中小企業におけるデザイン経営の導入は、決して簡単な道のりではありません。顧客の真のニーズに応え、市場での競争力を高めるためには、デザイン経営がそのヒントの1つになると思います。デザイン思考を経営戦略に取り入れ、柔軟かつ革新的な思考で事業を進めていくことが重要です。私たちのような中小印刷会社の取り組みが、参考になれば幸いです。進展ありましたらご報告します。