あの頃へ
先日、中学校からの友人からメールがあり、
若い頃走り屋などと粋がっていた時代に
大変御世話になっていたバイク屋さんが店を閉めるとの事。
僕自身、家族が出来たり子供が生まれたりですっかり疎遠になってしまい、
さほど遠くない場所なのに、もう何十年も店に顔を出して居なかった。
そもそもその始まりは・・・
僕が初めて買った中古のオートバイが壊れた時買った店は、夜逃げしてしまい、
修理する所に困っていた僕に友人が紹介してくれたのが、そのバイク屋でした。
いつもニコニコ笑顔が絶えない奥さんと、45度傾きがある銀縁メガネがトレードマークのご主人との二人三脚で切り盛りしているバイク屋でした。
気に入らない客は、追い帰してしまう事も度々ある頑固なご主人でしたが、
僕は妙に居心地がよく学校とバイトが無い時には、いつも入り浸っていました。
そして簡単な修理などは、「道具と場所は貸してやるから自分でやってみな。
自分でやれば部品代だけで直るぞ!」と言って、
場所と工具を好きに使わせてくれました。
僕は、店に置いてあった整備マニュアルなどを見つつ時には、
ご主人の助言をもらいながら自分のバイクの整備もできる様になった。
場所を借りているお礼にと、奥さんが居ない時に店番をしたり、
納車するバイクを洗車したりして、できる範囲で店を手伝った。
バイク屋のご夫婦には、子供がいなかったせいか
10代の僕に色々良くしてくれた。
バイクの事だけでなく、
色々な事を相談できる尊敬できる大人の一人でもあった。
だが時が経つにつれ周りがバイクから車へ移行して行くと、
僕もバイクに余り乗らなくなり
自然とバイク屋にも顏を出さなくなってしまったのです。
店が閉店する前に再びあのご夫婦に会いに行こうと思います。
あの怖い物なんて何も知らなかった頃の思い出の場所へ。
いつも見守っていてくれた、
あのご夫婦に「長い間お疲れ様でした」と言うために・・・
金曜日の大吟醸